マラセチアと皮膚マイクロビオ―ム
(これまでの状況)

脂漏性皮膚炎に対する治療薬(飲み薬)とシャンプー(抗真菌剤配合)について、実際にヒトで効果について試験した場合、マラセチア菌がどんな変化を示すか知られていなかった。

 

(今回明らかになったこと)

治療によって、臨床的に症状が改善され有効性が認められた事例において、マラセチアが頭皮からいなくなるのではなく、マラセチア属は、頭皮に維持されることが分かった。

中でも、2種のマラセチア(M.グロボーサとM.レストリクタ)が最も頻度高く検出された。

 

本記事を読むと、上の2点について、大まかに知ることができます。

 

紹介する論文
タイトル

皮膚真菌マイクロビオーム:無作為化比較および治療試験における頭皮脂漏性皮膚炎のマラセチア酵母

 

所属
Dermatoendocrinol. 2017 Oct 23;9(1):e1361573. doi: 10.1080/19381980.2017.1361573.

 

著者
Kamamoto CSL, Nishikaku AS, Gompertz OF, Melo AS, Hassun KM, Bagatin E.

 

所属
1サンパウロ連邦大学(UNIFESP)皮膚科、ブラジル、サンパウロ。
2ブラジル、サンパウロ、サンパウロ連邦大学(UNIFESP)の医学部、特殊菌学研究所。
3サンパウロ連邦大学(UNIFESP)、ブラジル、サンパウロの微生物学、免疫学および寄生虫学部門。

 

概要
皮膚の微生物叢の頭皮におけるマラセチア属は、脂漏性皮膚炎の病因に関与している。

 

したがって、皮脂産生、腺のサイズを減少させ、抗炎症特性を有するため、局所的な角質溶解剤と組み合わせた抗真菌に基づく治療は、経口イソトレチノインと同様に適応とされてきた。

 

この無作為化比較および治療試験は、マラセチアの遺伝子型同定を行うことを目的としている。

中等度から重度の脂漏症および/または頭皮の脂漏性皮膚炎のための低用量経口イソトレチノインまたは局所抗真菌治療の前後の種について調査を実施。

 

頭皮の鱗と皮脂を改変ディクソンの真ん中に播種し、32℃でインキュベートした。

遺伝子型の同定には、ITSおよびD1 / D2リボソームDNAのポリメラーゼ連鎖反応プライマーを使用し、その後サンプルのシーケンスを行った。

手順は、頭皮の中等度から重度の脂漏性/脂漏性皮膚炎に対する治療的および無作為の介入の前後に行われ、経口イソトレチノイン、10 mg、隔日、および抗脂漏性シャンプー(ピロクトンオラミン)が6か月間にわたって行われました

 

2種のマラセチア(M.グロボーサとM.レストリクタ)が、両方の治療の前後に頭皮上で最も頻繁に分離された種だった。

 

同時に、他の非マラセチア種も特定された。

 

脂漏症/脂漏性皮膚炎の臨床的徴候の制御に同等に有効であった両方の治療後、マラセチア属は、頭皮に維持された

 

 

 

まとめ~薬によるSD治療で有効性が認められたヒトの頭皮では、マラセチアは維持されていた

 

(今回明らかになったこと)

治療によって、臨床的に症状が改善され有効性が認められた事例において、マラセチアが頭皮からいなくなるのではなく、マラセチア属は、頭皮に維持されることが分かった。

中でも、2種のマラセチア(M.グロボーサとM.レストリクタ)が最も頻度高く検出された

 

●管理人コメント

SDの症状が改善し治療薬の有効性が認められたヒトの頭皮のマラセチアは、いなくなっている訳ではありませんでした。

マラセチアは、頭皮に維持されている結果でした。

今後の研究が必要ですが、

半年間の治療で、マラセチアを含めた皮膚真菌マイクロビオームが正常化されて、マラセチアが免疫系を異常に活性化していたのをしずめることができたのではないかと推測されます。

 

語句の説明

イソトレチノイン

米国等で難治性ニキビの治療に使用されている「アキュテイン」の一般名が、イソトレチノイン。

この薬は、妊娠中の女性が服用した場合に、胎児への催奇形性のおそれがあるため、米国食品医薬品局(FDA)と日本の厚生労働省は、インターネットや個人輸入により入手することのないよう、注意喚起を行っています。

 

ピロクトンオラミン

ピロクトンオラミンは殺菌薬として用いられる有機化合物である。クラリアント社により商品名オクトピロックスとして販売されている。

国内で販売されているシャンプーとしては、ライオンの「オクト」「ソフト・イン・ワン シャンプー」、持田ヘルスケアの「コラージュフルフル」などに配合されている。

 

 

 

おすすめの記事